14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 大和さん…。

 画面に表示される名前にドクンと心臓が大きく跳ねた。大きく深呼吸をしてから通話をタップする。

「もしもし」

『おつかれ、まだ社内にいるってことはないよな?』

 時刻は二十時を回っている。

「家に着いてます」

『だよな。食事して送って行こうと思っていたんだけど、仕事に忙殺されていて気づいたらこの時間になってた』

 食事を……。

「忙しいんですね」

『まあな。今日はあきらめる。明日は空いている?』

 誘われてうれしいと思った。私はこのときをずっと待っていたの?

「……予定はないです」

『良かった。七時半に迎えに行く。ドライブへ行こう』

「ドライブ? どこへ?」

『行きたいところはある?』

 そう聞かれると、どこも思い浮かばず「いいえ」と答える。

『じゃあ、着いてからのお楽しみってことで』

「え? またそれですか?」

『俺って、サプライズが好きなんだ』

「それはサプライズって言うよりは、秘密主義なのでは……?」

『どのみち、車を走らせていればどこへ行くかわかると思う。じゃあ、七時半に』

 約束をして通話が切れる。

 ドライブ……いつも彼は突然誘う。

 大和さんの連絡を待っていたのかもしれない。

 誘われてホッとしたような、彼にどう接していいのか、でも明日会うと思うと気持ちが浮き立ってくるのもたしかだ。

 とどのつまり、私は大和さんに会いたかったのだ。
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