14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 彼は運転に集中しているのか、会話がなく、何となく気まずい。

「……先日、専務取締役の名刺を多めに発注しました」

「秘書が依頼すると言っていたな。そろそろあいさつ回りは終るから、名刺の減り具合も落ち着くと思う」

 幹線道路から首都高速道路を走り、中央道に乗った。

「おにぎりをくれるか?」

「はい。シャケと塩昆布しかないんですが、どちらにしますか?」

「両方。まずはシャケがいいかな」

「たくさんあるんで、いくつでも食べてください」

 保冷バッグからシャケのおにぎりを出して、食べやすいようにラップを少し外してから渡す。

「いただきます」

 彼は運転しながら、おにぎりを大きな口で食べる。

 ペットボトルのお茶も出してキャップを開けると、運転席と助手席の間のドリンクホルダーに置いた。

「うまいよ」

「良かったです。シャケは瓶に入っているものだし、おかずもなくて恥ずかしいんですが」

「おにぎりで充分だよ」

 すんなりと言葉に出来るのは、本当にそう思ってくれているからなのかもしれない。   

 私もシャケのおにぎりを食べ始める。

 窓から見える景色は緑が多くなって爽やかだ。晴天で気持ちが良い。

 ドライブなんて、大学一年生のときの家族旅行以来でずいぶん久しぶりだ。
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