14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 十月の気候の良いときなので、中央道はしばらくすると渋滞になった。

 大和さんはおにぎりを三つ食べた。

「……そうだった……日本の渋滞を忘れていた……」

 前の車が渋滞で止まり、大和さんが静かにブレーキを踏む。

「ドライブは無謀だったか」

「運転は大変かもしれませんが、景色は楽しめています」

「俺は大丈夫。景色は……そうだな。おそらく十二時には現地に到着できると思うが」

「渋滞は仕方ないですから。家族旅行は毎回渋滞にはまっていました」

「ご両親には時々会ってる?」

 車は少しずつ前へ進んでいる。

「お正月とお盆の年に二回くらいでしょうか」

「二回か。少ないんじゃないか? 寂しくない?」

「あ、でも頻繁に電話で話していますから。寂しさはありますが、慣れちゃったみたいです。あ! 富士山。もしかして行き先は……」

「ビンゴ。頂上に少し雪があって綺麗だな」

「富士山を近くで見られるなんて小学校の遠足以来です」

 そんな話をしているうちに、渋滞が解消されてきて車は徐々にスピードを上げていった。

 十一時過ぎ、車は河口湖のボートハウスの駐車場に止められた。

 車から降りて、すぐ近くに見える富士山に感嘆の声を上げる。

「雲がないからくっきり見えて素敵ですね」

 スマホを片手に富士山の写真を撮る。

「湖に逆さ富士が映るらしいよ」

「見に行きましょう!」
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