14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 湖の方へ足を運ぶと、黄色のスワンボートや竿を垂らしているボートがいくつも浮かんでいるのが目に入る。

「本当に湖に富士山が写ってますね。綺麗です」

 スマホで清々しく美しい景色を撮る。

「乗ろう」

「え?」

 手を引っ張られ、大和さんはスワンボートの乗車の手続きをする。

 係員に案内されて、私たちは二人乗りのスワンボートに乗った。

「いってらっしゃーい」

 元気の良い係員の男性にスワンボートの天井がポンと叩かれ、漕ぎ始める。

「すごーい。自転車みたい」

 運動不足の私には貸し切りの一時間で筋肉痛になるかもしれない。それでも初めてのスワンボートは楽しくて一生懸命足を動かす。

 彼も楽しんでいるみたいだ。

 遊園地のときも思ったけれど、短期間でこんな風に同じ空間で楽しめるなんて不思議だ。

 ふいに漕ぐ足を止めた大和さんが私の方へ顔を向ける。

「今日は眼鏡していないんだな」

「それ、今言います? 普通会ったときに言いませんか?」

 笑いながら突っ込む。

「それなっ」

 彼は目じりを下げて笑う。

「会ったときに指摘したら、じゃあかけますって言われるんじゃないかと思ったんだ」

「今日は持ってきていないですよ」

「殻から出すのに、一歩前進だな」

「……不思議とふたりでいるときは眼鏡をかけなくても安心するんです。あ、きっと偽の恋人契約だからですね」

 湖の上にふたりきりだけど、彼となら大丈夫という安心感があって、ゆっくり漕ぎながら自然の空気を楽しんでいる。

「安心か……。何があったかまだ話せない?」
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