14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「ふふっ、落ち込んでいると思って私が綺麗に見えただなんて。お世辞を言わないでください。メイクをしていたから綺麗に見られたんです」

「今だってメイクしていないだろ? でも、素肌は透明感があって綺麗だよ。考えてもみろよ。恋人のフリを頼むにしろ、容姿は考えるさ」

 褒められることに慣れていないので、照れる。

「……大和さんって、俺様で策士だなって思ったんですけど、今はちゃんと相手のことを考える人なんだなって」

「俺が俺様で策士?」

「お見合いのとき、偽物だってわかっているのに調子を合わせて丁寧な口調だったじゃないですか。問い詰められたときは、内心怖かったんですから。でも今は……」

 どういって良いのかわからなくて言葉を切ると、彼が顔を近づける。

「今は?」

 優しく問われて困惑する。

「わ、わかりません。とりあえず今は恋人のフリをするだけです。出番は少ないですし」

 すると、大和さんは美麗な顔をフッと緩ませた。

「もしかして出番を待っていたとか?」

「そういうわけじゃ……あ! 時間大丈夫ですか?」

 大和さんは腕時計へ視線を落とす。

「あと十分だ」

 しかし、ボート乗り場からはかなり離れてしまっている。

「漕ぐぞ」

「え? は、はいっ」

 一生懸命脚を動かしているうちに、意味もなくおかしくて笑いがこみ上げてきた。

 私、とても楽しんでる。
< 71 / 208 >

この作品をシェア

pagetop