14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「今日はとても楽しかったです。ありがとうございました」

「もう終わりの言葉? まだやることは残ってるんだけど?」

「まだ……?」

 スマホを出して時刻を見てみると、十六時を過ぎている。

「そう。夕食も食べるし。そうだな……今日中には送り届けられると思う。明日の予定は?」

「何もありませんから大丈夫ですが、大和さんは運転で疲れてしまうのでは?」

「運転は好きだから問題ないよ。そろそろ行こうか」

 ベンチから立って飲み終わったカップを私のも受け取り、近くのゴミ箱に捨ててから車に乗り込んだ。


 しばらく走ったのち、豪奢な建物のエントランスで車が止まった。

「え……? ここはホテルじゃ……」
 
 一面のガラス張りの横の壁に、会員制ホテルの名前の入った看板が目に入る。

 運転席の大和さんへ顰めた顔で振り返る。

「待て待て。早とちりはやめてくれ。襲うためにホテルに連れてきたんじゃないから。ここの風呂が良いらしい。もちろん別々に入る。そのあと、ここで夕食を食べようと」

「あ……ごめんなさい」
< 74 / 208 >

この作品をシェア

pagetop