ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
 立ち上がった中山さんがドアを開けると、そこには須藤さんがいた。
 部屋に入った須藤さんは私の姿を見て驚いていたが、すぐに納得したような顔をして言った。

「葉梨は良いんだね」

 ――どういう意味だろうか。

 その言葉に私は首を傾げた。だが、それは一瞬の出来事だった。
 中山さんは私に背を向けたまま、いつもより低い声音で言った。

「葉梨、加藤を部屋に連れてけ」

 私は簀巻きのまま抱えられて、中山さんの部屋を出た。

 見上げる葉梨は少し、緊張しているようだった。

< 115 / 257 >

この作品をシェア

pagetop