ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
第30話 リボンとカチューシャと女子力と
三月二十三日 午前二時二十五分
私は今、後輩の野川里奈とショッピングをしている。
野川とは昨日から一緒だ。
昨晩は私のマンションに泊まり、朝から二人で出かけているのだが、午前中は映画、昼はファミレスで食事、そして今はショッピングだ。
野川は「デートですね!」と可愛い笑顔で言っていたが、正直なところ少し疲れた。
――これが若さなのだろうか。
熟女の私はトレーニングをしているとは言え、それは仕事用のものであり、生命力が満ち溢れた光り輝く野川と対峙する為のものではない。精力が吸い取られる、そんな感じだろうか。今まで経験した事の無いタイプの疲労感だ。
「これ可愛いですね!」
「そうだね」
野川が手に持ったカチューシャは、細身だがリボンは大きめのカチューシャだった。私は棒読みで答えた。
カチューシャを頭につけ、鏡を見ながら頭を左右上下にとキメ顔で見ている野川が、私には眩しい。
――私にもこんな時代があっ……いや、無かったな。
私が身だしなみを整えるようになったのは松永さんと仕事するようになってからだ。
それまでの私は日焼け止めとリップクリームだけで仕事していたし、髪は肩下五センチのストレートヘアだった。それ以上短いと寝癖が酷いという理由だけでそうしていた。
私は今、後輩の野川里奈とショッピングをしている。
野川とは昨日から一緒だ。
昨晩は私のマンションに泊まり、朝から二人で出かけているのだが、午前中は映画、昼はファミレスで食事、そして今はショッピングだ。
野川は「デートですね!」と可愛い笑顔で言っていたが、正直なところ少し疲れた。
――これが若さなのだろうか。
熟女の私はトレーニングをしているとは言え、それは仕事用のものであり、生命力が満ち溢れた光り輝く野川と対峙する為のものではない。精力が吸い取られる、そんな感じだろうか。今まで経験した事の無いタイプの疲労感だ。
「これ可愛いですね!」
「そうだね」
野川が手に持ったカチューシャは、細身だがリボンは大きめのカチューシャだった。私は棒読みで答えた。
カチューシャを頭につけ、鏡を見ながら頭を左右上下にとキメ顔で見ている野川が、私には眩しい。
――私にもこんな時代があっ……いや、無かったな。
私が身だしなみを整えるようになったのは松永さんと仕事するようになってからだ。
それまでの私は日焼け止めとリップクリームだけで仕事していたし、髪は肩下五センチのストレートヘアだった。それ以上短いと寝癖が酷いという理由だけでそうしていた。