ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
後輩の為によくそこまでやるなと思ったが、その時の松永さんの年齢を経た今は分かる。後輩育成の為に自分の時間と金を提供するのは後々の自分の為でもあるのだ。
あれから六年経った今の私は、松永さんを信用していないが信頼はしている。費用対効果はあっただろう。
「野川、買ってあげるよ」
「ええっ!? 良いんですか!?」
「うん。それいくら?」
「えっと……五百円です!」
――安ッ。
「なら他のも。欲しいのあったら買ってあげるよ」
ヘアアクセサリーを輝く笑顔で眺める野川が可愛いと思った。松永さんのように五十万円は無理だが、五千円位までなら私は出せる。五万は無理だ。住宅ローンがあるから。すまない。
「加藤さん! これ、同じの着けましょう! ペアです!」
「んんっ!?」
野川はリボンの付いたカチューシャを手に持ちながら、私に似合う色を選んでいる。私がリボンの付いたカチューシャを着ける事を前提で選んでいる。何の疑いもなく。
――ババアにリボンはキツイだろう。
頭にリボンを付けるのなら服はどうすれば良いのだろうか。野川のように清楚系の服だろうか。
私は手持ちのワンピースを思い浮かべたが、頭にリボンを付けた自分の姿にドス黒い感情が渦巻いた。
――ババアにリボンはダメだ。私のプライドが許さない。
「野川、リボンじゃなくて、他には無いの?」
「ダメです! 加藤さんはリボンが似合うんです!」
――このクソガキめ。頭引っ叩くぞ。
だが私は思った。
野川は私と遊びに行きたいと何度も言って、約束してもお互いに仕事でキャンセルとなっていた。それでも私と遊びに行きたいと言ってくれた。
十歳も年上の先輩とプライベートでも関わりたく無いと思うのが普通だろう。
野川は映画や食事、ショッピングなど、財布代わりに私を連れ回すのかと思ったが、そうでは無かった。ただ純粋に私を慕い、遊びに行きたいと言ってくれたのだ。そして、同じものを身に着けたいと言う。
――リボンのカチューシャくらい、良いか。
「分かった。野川が選んでくれたもの、使うよ」
「はいっ!」
笑顔で私を見上げる野川を本当に可愛いと思った。
あれから六年経った今の私は、松永さんを信用していないが信頼はしている。費用対効果はあっただろう。
「野川、買ってあげるよ」
「ええっ!? 良いんですか!?」
「うん。それいくら?」
「えっと……五百円です!」
――安ッ。
「なら他のも。欲しいのあったら買ってあげるよ」
ヘアアクセサリーを輝く笑顔で眺める野川が可愛いと思った。松永さんのように五十万円は無理だが、五千円位までなら私は出せる。五万は無理だ。住宅ローンがあるから。すまない。
「加藤さん! これ、同じの着けましょう! ペアです!」
「んんっ!?」
野川はリボンの付いたカチューシャを手に持ちながら、私に似合う色を選んでいる。私がリボンの付いたカチューシャを着ける事を前提で選んでいる。何の疑いもなく。
――ババアにリボンはキツイだろう。
頭にリボンを付けるのなら服はどうすれば良いのだろうか。野川のように清楚系の服だろうか。
私は手持ちのワンピースを思い浮かべたが、頭にリボンを付けた自分の姿にドス黒い感情が渦巻いた。
――ババアにリボンはダメだ。私のプライドが許さない。
「野川、リボンじゃなくて、他には無いの?」
「ダメです! 加藤さんはリボンが似合うんです!」
――このクソガキめ。頭引っ叩くぞ。
だが私は思った。
野川は私と遊びに行きたいと何度も言って、約束してもお互いに仕事でキャンセルとなっていた。それでも私と遊びに行きたいと言ってくれた。
十歳も年上の先輩とプライベートでも関わりたく無いと思うのが普通だろう。
野川は映画や食事、ショッピングなど、財布代わりに私を連れ回すのかと思ったが、そうでは無かった。ただ純粋に私を慕い、遊びに行きたいと言ってくれたのだ。そして、同じものを身に着けたいと言う。
――リボンのカチューシャくらい、良いか。
「分かった。野川が選んでくれたもの、使うよ」
「はいっ!」
笑顔で私を見上げる野川を本当に可愛いと思った。