ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ

第4話 ポメラニアンと闇金と省エネと

 二月二十三日 午後七時二十分

 駅前のスーパーで買い物をして自宅に戻ると、スマートフォンが鳴った。メッセージアプリの通知音だ。
 メッセージアプリのアイコンをタップすると、メッセージは葉梨からだった。

『ご連絡が遅くなりました。今週末からでしたら時間が取れます』

 あれから何度か私は葉梨に連絡を取って会う日を打ち合わせたが、その都度キャンセルになっていた。
 私は葉梨に電話をしても良いかメッセージを送るとすぐさま既読が付き、電話が掛かって来た。

 ――先輩に気を遣ってるんだな。

 葉梨は岡島が何を考えているのか分かっているのだろうか。おそらく葉梨は賢いから分かっているだろう。

 ――誰にも染まりたく無い、か。

「もしもし」
「もしもし! 葉梨です!」
「うん、ごめんね、電話大丈夫なの?」
「はい! 今日は実家に帰ってます!」

 ――休みだったのか。なら今日でも良かったじゃないか。

 だが葉梨にも都合がある。実家に帰れるのなら帰った方が良い。私はいつ実家に帰ったか思い出せないほど帰っていないから。
 
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