ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
石川さんはコンビニに飲み物を買いに行ったようだった。二リットルのペットボトル二本だ。重いだろう。そう思っていると、須藤さんが「持ちますよ」と言った。さすがジェントルポリスメンだ。
だが石川さんは遠慮している。無理もない。買い物袋を警察官に持たせるなど一般市民にとっては怖いだろう。世間では警察を公営ヤクザなどと言う人もいるが、立場上、その件については何も言えない。
並んで歩く二人を私は見ているが、双方が「いいです、大丈夫です」と言い合っている。
石川さんを見る須藤さんはよそ行きの優しい笑顔だ。当たり前か。
「私が持ちます!」
「えっ……でも……」
「いいです、私が持ちます!」
そう言って石川さんから半ば無理矢理に買い物袋を奪った。公営ヤクザ爆誕――。
だが小柄な女性に持たせるよりデカい私が持った方が良いだろう。他意はない。私は地域住民とふれあうおまわりさん。今は公営ヤクザではないのだ。
「すみません、ありがとうございます」
須藤さんは石川さんをちらりと見てから私を見て、微笑んだ。
だが石川さんは遠慮している。無理もない。買い物袋を警察官に持たせるなど一般市民にとっては怖いだろう。世間では警察を公営ヤクザなどと言う人もいるが、立場上、その件については何も言えない。
並んで歩く二人を私は見ているが、双方が「いいです、大丈夫です」と言い合っている。
石川さんを見る須藤さんはよそ行きの優しい笑顔だ。当たり前か。
「私が持ちます!」
「えっ……でも……」
「いいです、私が持ちます!」
そう言って石川さんから半ば無理矢理に買い物袋を奪った。公営ヤクザ爆誕――。
だが小柄な女性に持たせるよりデカい私が持った方が良いだろう。他意はない。私は地域住民とふれあうおまわりさん。今は公営ヤクザではないのだ。
「すみません、ありがとうございます」
須藤さんは石川さんをちらりと見てから私を見て、微笑んだ。