ブランカ/Blanca―30代女性警察官の日常コメディ
 吉崎さんが戻って来たが、少し、表情が固い。
 それを見た松永さんと岡島は目が鋭くなった。
 吉崎さんは元の松永さんの隣の席に座り、耳元で囁いた。そして私は松永さんに促されて立ち上がった。

 個室の外で松永さんから、カウンター席で待っていろと指示された。そして、もう一つやる事を指示された。
 私はそれが不満で目をそらしたのだが、松永さんが見逃すはずもなく、私は肩を押された。
 松永さんは膝で私の足を押して後退りさせ、背後の壁と松永さんの腕に私は逃げ道を塞がれた。

 ――壁ドンだ。腕を曲げるタイプで顔が近い。

「確かにね、覚えるのキツい。それが無理ならさ……」
「…………」
「岡島に膝カックンされた事、許すのは?」
「私やります! 頑張ります! やらせて下さい!」
「うん……」

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