ノア様の愛のいじわる
可愛いわ可愛いわと連呼しながら頭を抱えるノア。
そのままぐちゃぐちゃと、大切な資料をかき回して唸る。
「はやく俺のものになんねえかな。欲しすぎて、俺死んじゃうかも」
だから、その気持ちは、恋っていうんだよ。
「死なねーから、はやく仕事して」
あーもう、せっかく整えた資料ぐちゃぐちゃじゃん。
俺らのノア様は、たったひとりの女の子だけに弱くて。
「まじ可愛すぎて瑠璃ちゃんの手にキスしちゃった」
「……ノアさ、そろそろ訴えられるんじゃない」
ふつう、キスしちゃった♡で許される話じゃねーよ。
俺はノアのそういう行動に慣れたからいいけれど。
他の奴が見たら、めっちゃ引くからね、それ。
……でも、ノアがやるから様になるのは、仕方ない。
まったく仕事をしないノアのせいで、いつも俺がぜんぶやる羽目になる。
花氷さんパワーで生気のなくなったノアを置いて、小さくため息を吐きながら、資料をまとめるのだった。