私に毒しか吐かない婚約者が素直になる魔法薬を飲んだんですけど、何も変わりませんよね?そうですよね!?
「――君に触れたい⋯」
「はぁ⋯?」


何の事かわからず言われた言葉にぽかんとする。

触れる?
触れるってー⋯


「ま、まさか」

“男女の営み的な事なの!?”

その可能性にたどり着き一気に頬が赤くなる。
確かに魔法薬のせいで散々囁かれた言葉達“だけ”を考えれば⋯

“そうよ、普段の毒吐き具合から嫌われてると思っていたけど⋯本当はテオドールって私の事を?”

そう考えれば垂れ流される台詞との辻褄が合う。
そしてかなり拗らせているとは思うが、今までの毒だって照れ隠し的なものだともとれる訳で。


「私の事、好きなんですか?」

思わず直球でそう聞くと、ずっと深く刻んでいた眉間の皺ー⋯は、そのままだが、彼の頬もじわじわと赤く染まった。

そんなテオドールの様子を見て、私は頬だけでなくじわりと胸までが熱くなって⋯


「⋯だ、だったら、本音と建前⋯擦り合わせますか」
「は?」

恥ずかしさから俯くと、彼から視線が外れた事で一応は取り繕えるようになったらしい彼から“彼らしい”まるで責められているような一言を返される。

“でも、テオドールのこれは照れ隠し⋯”
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