私に毒しか吐かない婚約者が素直になる魔法薬を飲んだんですけど、何も変わりませんよね?そうですよね!?
「クリスタ」
甘い台詞ではなく、はぁ、と深いため息を吐くのは彼が私に背を向けているからだろうか。
魔法薬の効果で言えば、きっとこれが彼の『建前』なのだろう。
“でも、私はそんな『建前』のテオドールしか知らないから”
ガチガチに建前とやらで固め本音を隠した、素直じゃないテオドールしか知らないから。
「貴方が隠し私が気付かない本音なんて、『本物』だけど『本物じゃない』のよ」
「はぁ?」
「この魔法薬の効果が切れたら、どうせテオドールはいつものツンツンケンケンした感じの悪い、ついでに口も悪い貴方に戻るんでしょ!!」
「う⋯っ」
顔を隠すように彼の背中にひしっと引っ付き、怒鳴るようにそう叫ぶ。
「現に、魔法薬の効果で甘い台詞を言っててもその表情と声色はいつもの感じ悪いテオドールじゃないっ」
「そ、れは⋯っ」
「だったら!」
不満をぶつけると、少し焦ったように弁解しようと彼が口を開く。
その言葉を遮るように、私も言葉を重ねた。
「⋯だったら、いつものテオドールでいいのよ」
「⋯⋯は?」
「いつものツンケンした感じの悪い貴方こそが、私がいつも見ていた『テオドール』だもの」
甘い台詞ではなく、はぁ、と深いため息を吐くのは彼が私に背を向けているからだろうか。
魔法薬の効果で言えば、きっとこれが彼の『建前』なのだろう。
“でも、私はそんな『建前』のテオドールしか知らないから”
ガチガチに建前とやらで固め本音を隠した、素直じゃないテオドールしか知らないから。
「貴方が隠し私が気付かない本音なんて、『本物』だけど『本物じゃない』のよ」
「はぁ?」
「この魔法薬の効果が切れたら、どうせテオドールはいつものツンツンケンケンした感じの悪い、ついでに口も悪い貴方に戻るんでしょ!!」
「う⋯っ」
顔を隠すように彼の背中にひしっと引っ付き、怒鳴るようにそう叫ぶ。
「現に、魔法薬の効果で甘い台詞を言っててもその表情と声色はいつもの感じ悪いテオドールじゃないっ」
「そ、れは⋯っ」
「だったら!」
不満をぶつけると、少し焦ったように弁解しようと彼が口を開く。
その言葉を遮るように、私も言葉を重ねた。
「⋯だったら、いつものテオドールでいいのよ」
「⋯⋯は?」
「いつものツンケンした感じの悪い貴方こそが、私がいつも見ていた『テオドール』だもの」