五十嵐くんに、食べられそうです。

夏休み。

暑い日差しが、照りつける中、私は街路樹の陰を見つけながら自転車を漕いで学校に向かっていた。


本当はバスで来たかったけど、ちょうどこの時間帯は利用者が少ないのか、本数が減ってしまっていて、仕方なく自転車を使うことにした。


けど…


――あっつ…。


まだ朝の10時だと言うのに、もう気温が30度近くまで上がっているような気がする…。


街路樹の陰を進んでいるから、風が抜ければまだ涼しく感じるものの、気まぐれに吹く風ではなかなか暑さを凌ぐのは難しい。



――汗ケアしたいなぁ…。



赤信号で自転車を止めるたびにハンドタオルで汗を拭くけど、また汗が滲んできてキリがない。

家を出る前に入念に汗ケアはしてきたけど、1度汗を気にしだすとずっと気になってしまう。

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