俺の好きな人【完】
「モテないよ」
「みんなかっこいいって言ってるよ?」
神橋さんもそう思ってくれてる?なんて、聞ける勇気もなく。
「…好きな人に言われなきゃ意味ないよ」
ほんと、これに尽きる。
神橋さんに言われなきゃ、なんの意味も無さない
他の女子にきゃーきゃー言われたって、嬉しくない
「…それはそうだね」
少し憂いめいて笑い、俯いて黙り込んでしまった神橋さん。
もともとそんなベラベラ話す方ではない俺は、何を話していいのかさっぱりわからず
傘だけは俺が持って、しっかり神橋さんに傾けた
校門を出て2人きりの空間になると、一気に頭が真っ白になって歩き続けた
何を話そうか考えているうちにあっけなく2人の分岐点は来てしまい、
「あ、私こっちなんだ」
「…俺、あっちだわ。傘さんきゅうな」
傘を手渡すと遠慮気味に微笑んだ
神橋さんも気まずかったんだろうな