俺の好きな人【完】
「書けたよ。ずっと忘れててごめんな。」
画用紙を渡す
「いいえ!ありがとうね!」
ああ、こんなに好きなのに。
こんなに思っているのに、届かない片思いだ。
「じゃあまたね。」
そう言ってスカートを翻して、去っていこうとしてしまう神橋さん
「っ、…平くん?」
俺は無意識に手を伸ばして、神橋さんの腕を掴んでいた。
目の前の神橋さんは当然、戸惑ったような表情をしている
「髪、なんで切ったの?」
気づいたらこんな言葉を口走っていた
「…好きな人が、ショートの人可愛いって言ってたから」
潤んだ瞳を揺らしながら、少し自信がなさそうに伏せ目がちにそうおしえてくれた。
自分から聞いたくせに、一丁前に心は傷ついていく
「それって、岩永?」
ああ、なんで俺はこんなこと聞いてるんだろう。
神橋さんだって迷惑なはずなのに。