俺の好きな人【完】



「岩永…………?って、あ、しょうちゃんのことか!ないない、私たち従兄弟同士だもん!」



「…え?」



その信じられない言葉に耳を疑う


今、なんて?いとこ?



「お母さん同時が姉妹だから、苗字違うけどね。みんな結構知ってるよ?」



きょとんとした表情のまま、視線が合う



「…そっか」


力が抜けて、掴んでしまっていた腕を離した



…俺の勘違いだったんだ



あの顔が広い玄太でさえ、従兄弟だって知らなかったなんて。


なんか恥ずかしい。てっきり好きな人なんだと思ってた



「あの、ひとつ聞いてもいい?」


「うん」



「…どうしてそんなこと聞くの?」



茜さす教室。


絡んだ視線、まっすぐ見つめてくるその瞳を逸らすことができない。


ここで本当のことを言う度胸がほしい。



「…なんでかな」


弱く笑ってはぐらかしてしまった俺は、まじでクソだと思う。
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