俺の好きな人【完】
勢いで告白できたら良かったのに。
ありえないくらいドキドキしてるくせに、大好きなのにどうして本音を言えないんだろう。
「…そうだよね、意味なんてないよね。じゃあ私帰るね!またね」
気まずそうに笑って、教室を出て行った神橋さんの背中を見つめることしかできなかった。
今までになくぎこちない雰囲気だった神橋さん。
髪を切った理由とか、好きな人とか、そんなこと聞いて俺の気持ちは完全にバレたような気がする。
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あれから数日
俺は確実に神橋さんに避けられている
あんな質問をしてくるただのクラスメイトが気持ち悪くて、俺の好意が伝わってしまったんだろう
「岸瀬くんおはよ!」
「おはよ、優ちゃん〜」
いつも通りの笑顔で、玄太には挨拶するくせに
俺が隣にいることを認識した途端、まるで石になったかのように固まって、
「あ…わ、私あっちに用があるんだったー!」
逃げて行ってしまうんだ
…やっぱりあんなこと聞かなければよかった。
後悔したって仕方がないけど、やっぱりきつい。
あんなあからさまに避けられたら、俺の心はもうズタボロなわけ。
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