俺の好きな人【完】


どういうことだ?



俺が神橋さんを嫌うわけなんてないのに。
安心したってことは俺は嫌われてたわけじゃなのか?



「好きな人を聞いてくるなんて、脈ありかもなんて思った自分が恥ずかしくて」 



顔を真っ赤にした神橋さんが、そう言葉を紡ぐ



「それって、」



そんな言い方まるで…



いや、でも勘違いだ。きっと。









「……私の好きな人、平くんだよ」








そんな言葉はあまりにも夢物語のよう話で、でも間違いなく神橋さんから発された声だった。


理解ができない。



「……べ、別のクラスに好きな人がいるって」



「へ……?あ!それはっ、違うのっ!」



また顔を真っ赤にして、手をぶんぶん振り回しながら否定する



「あれはっ、茶化されたくなくて、てきとーに嘘をついただけでっ、」



そんな彼女の嘘が可愛くて、愛おしくてつい笑顔が漏れてしまう。

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