音が好き
 タッタッタッタッタ……。


吾峠遥花の足音がだんだんと遠ざかっていく。

そして、足音が完全に消えたのを確認すると、稲葉音は、ずるずると壁にもたれかかって床に座った。

顔は、真っ紅に染まっている。

沈む太陽の赤い光が、彼の紅さを、よりいっそう引き立てていた。




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