音が好き
♪2 ピアノの発表会
果子さんと雅さん
コーラスコンクールが終わって1週間。
数日前に結果発表があり、中学二年では、二年三組が優勝した。
私のクラスも、音くんのクラスも優勝はできず、ちょっとだけ悲しかった。
そんなことはさておき、今日はピアノの発表会だ。
同じ先生に習っているので、当然音くんも出場する。
発表会なので気は楽だが、音くんの前で演奏するのは、とても緊張する。
コーラスコンクールの時とは違い、今回はソロのピアノだ。
譜面も難しいし、失敗してもコーラスで誤魔化せない。
私は気を引き締めて、最後の練習に臨んだ。
ついに、発表会開始の1時間前になった。
早くも会場のホールに着いた私は、先生からプログラムを受け取り、ホールの中に入って待つことにした。
両親は、近くのカフェでゆっくり過ごすそうだ。
適当な観客席に座り、プログラムを広げると、私は目を見張った。
◆プログラム
…
…
18 勝本あかね 曲名ーー
19 吾峠遥花 曲名ーー
20 稲葉音 曲名ーー
音くんがトリを務める。でもこれは、予想していたから別に驚かない。
それよりも驚いたのは、私の番が、音くんのすぐ前だったということだ。
えっ……!〜〜っ! マジで⁉︎ 音くんの前が私⁈ ダメだ……、余計に失敗は許されない。
私の番が音くんの前だということは、私が、今日の出場者20人の中で、音くんの次にピアノ上手だという印象を観客に植え付ける。
実際はそんなことないのに。私と音くんの実力は、天と地以上にかけ離れているのに。……、
はぁ。困ったな。観客から、変な期待をされてしまう。
ーー
「今日の発表会、楽しみだな〜! 」
「あぁ、たしか知り合いの子が出るんだっけ? 」
そんなことを考えていると、女の人と男の人の話し声が、ホールの外のロビーから聞こえてきた。
ん? まてよ、
この声もしかして……。
嫌な予感がする。
「そうなの〜! 私は遥花の立派な先輩で、お姉さんだもの! あ〜会うだけでも心が躍るのに、さらに演奏まで聴けちゃうなんて‼︎ 嬉しすぎて今日オシャレして来ちゃった♪」
げーー‼︎ やっぱり!
果子さんだ‼︎‼︎ 嘘でしょ……?
まさか発表会に来るとは……、聞いてないんですけど〜〜⁉︎
ーー
宮野果子さん。
私の母と果子さんの母は、高校時代の親友らしく、よくお互いの家を行き来していた。
家も徒歩10分くらいの距離にあったので、私と果子さんはすぐに仲良くなり、徐々に姉妹のような関係になっていった。
果子さんも、私や音くんと同じ先生にピアノを習っていた。
実は、私がピアノ教室に通うきっかけは、果子さんがそこで習っていたからだったりする。
果子さんは、現在大学二年生。音楽大学のピアノ演奏科に通っている、ピアニストの卵だ。
果子さんは、私関連で音くんとも知り合いになり、音くんをちょっとライバル視している。
果子さんと音くん。どっちが上手なんだろう。
まぁとにかく、そんな凄い人に、私の下手な演奏を聴かれたくない。
でも、久しぶりに果子さんに会えるのは嬉しくて、複雑な気持ちだった。
ーー
数日前に結果発表があり、中学二年では、二年三組が優勝した。
私のクラスも、音くんのクラスも優勝はできず、ちょっとだけ悲しかった。
そんなことはさておき、今日はピアノの発表会だ。
同じ先生に習っているので、当然音くんも出場する。
発表会なので気は楽だが、音くんの前で演奏するのは、とても緊張する。
コーラスコンクールの時とは違い、今回はソロのピアノだ。
譜面も難しいし、失敗してもコーラスで誤魔化せない。
私は気を引き締めて、最後の練習に臨んだ。
ついに、発表会開始の1時間前になった。
早くも会場のホールに着いた私は、先生からプログラムを受け取り、ホールの中に入って待つことにした。
両親は、近くのカフェでゆっくり過ごすそうだ。
適当な観客席に座り、プログラムを広げると、私は目を見張った。
◆プログラム
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18 勝本あかね 曲名ーー
19 吾峠遥花 曲名ーー
20 稲葉音 曲名ーー
音くんがトリを務める。でもこれは、予想していたから別に驚かない。
それよりも驚いたのは、私の番が、音くんのすぐ前だったということだ。
えっ……!〜〜っ! マジで⁉︎ 音くんの前が私⁈ ダメだ……、余計に失敗は許されない。
私の番が音くんの前だということは、私が、今日の出場者20人の中で、音くんの次にピアノ上手だという印象を観客に植え付ける。
実際はそんなことないのに。私と音くんの実力は、天と地以上にかけ離れているのに。……、
はぁ。困ったな。観客から、変な期待をされてしまう。
ーー
「今日の発表会、楽しみだな〜! 」
「あぁ、たしか知り合いの子が出るんだっけ? 」
そんなことを考えていると、女の人と男の人の話し声が、ホールの外のロビーから聞こえてきた。
ん? まてよ、
この声もしかして……。
嫌な予感がする。
「そうなの〜! 私は遥花の立派な先輩で、お姉さんだもの! あ〜会うだけでも心が躍るのに、さらに演奏まで聴けちゃうなんて‼︎ 嬉しすぎて今日オシャレして来ちゃった♪」
げーー‼︎ やっぱり!
果子さんだ‼︎‼︎ 嘘でしょ……?
まさか発表会に来るとは……、聞いてないんですけど〜〜⁉︎
ーー
宮野果子さん。
私の母と果子さんの母は、高校時代の親友らしく、よくお互いの家を行き来していた。
家も徒歩10分くらいの距離にあったので、私と果子さんはすぐに仲良くなり、徐々に姉妹のような関係になっていった。
果子さんも、私や音くんと同じ先生にピアノを習っていた。
実は、私がピアノ教室に通うきっかけは、果子さんがそこで習っていたからだったりする。
果子さんは、現在大学二年生。音楽大学のピアノ演奏科に通っている、ピアニストの卵だ。
果子さんは、私関連で音くんとも知り合いになり、音くんをちょっとライバル視している。
果子さんと音くん。どっちが上手なんだろう。
まぁとにかく、そんな凄い人に、私の下手な演奏を聴かれたくない。
でも、久しぶりに果子さんに会えるのは嬉しくて、複雑な気持ちだった。
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