花縁~契約妻は傲慢御曹司に求愛される~
葵家という歴史ある名家に嫁いだ私は仕事を今後続けるべきずっと迷っていた。
葵家の伝統はもちろん、私には今後学んでいくべき事柄がたくさんある。
義母のように後継者の妻としての役割を、器用でもなにか特別な才能があるわけでもない私が、勤務を続けながらしっかりこなせるのかと悩んでいた。
けれど彼はそんな私の悩みを一蹴して、自分の進みたい道を歩めばいいと言ってくれた。
家事や育児については一緒に話し合って考えようと躊躇いもせずに口にした。
私たちふたりだけで難しいときには周囲に助けやアドバイスを求めようとも言ってくれた。
彼の懐の深さを改めて知った瞬間だった。
「なんで……急に、こんな……」
「ずっと、考えていたんだ」
そう言って、彼はもう片方の手で私の頬に触れた。
入籍後すぐの結婚式を取りやめた当時の自身の決断を後悔はしていないが、やはり自分のけじめと区切り、お世話になった大切な方々への挨拶と感謝の気持ちを伝えたいという。
「一番の理由は最愛の妻のウエディングドレス姿が見たいのと、大事な人たちの前で逢花への変わらぬ愛を誓いたいからだが」
真っすぐに私を見つめ、きっぱりと言い切る依玖さんに胸の奥が熱くなった。
こみ上げる、言葉にならない感情に心が強く揺さぶられ、視界が滲み始める。
「俺のわがままをどうか聞いてくれませんか?」
そっと手の甲に落とされたキスの熱さに、夢ではないと思い知る。
葵家の伝統はもちろん、私には今後学んでいくべき事柄がたくさんある。
義母のように後継者の妻としての役割を、器用でもなにか特別な才能があるわけでもない私が、勤務を続けながらしっかりこなせるのかと悩んでいた。
けれど彼はそんな私の悩みを一蹴して、自分の進みたい道を歩めばいいと言ってくれた。
家事や育児については一緒に話し合って考えようと躊躇いもせずに口にした。
私たちふたりだけで難しいときには周囲に助けやアドバイスを求めようとも言ってくれた。
彼の懐の深さを改めて知った瞬間だった。
「なんで……急に、こんな……」
「ずっと、考えていたんだ」
そう言って、彼はもう片方の手で私の頬に触れた。
入籍後すぐの結婚式を取りやめた当時の自身の決断を後悔はしていないが、やはり自分のけじめと区切り、お世話になった大切な方々への挨拶と感謝の気持ちを伝えたいという。
「一番の理由は最愛の妻のウエディングドレス姿が見たいのと、大事な人たちの前で逢花への変わらぬ愛を誓いたいからだが」
真っすぐに私を見つめ、きっぱりと言い切る依玖さんに胸の奥が熱くなった。
こみ上げる、言葉にならない感情に心が強く揺さぶられ、視界が滲み始める。
「俺のわがままをどうか聞いてくれませんか?」
そっと手の甲に落とされたキスの熱さに、夢ではないと思い知る。