あしたのあたし

日常

あの日以来、あたし達は何度もホテルに行った。最初はどうしようもなく痛かったけど、最近は割と慣れてきた。ジュンが優しくしてくれてるのも分かったから嬉しかった。高槻君の呼び方も、あの日からずっとジュンだ。

「マキ、昼飯に行こう」

昼休みになった教室は、みんな思い思いの場所で昼食を取ろうとざわついていた。

「うん、ちょっと待ってね、ジュン」

もちろん今では立派な手作り弁当が日課になっている。立派といっても、冷凍食品じゃなくなっただけで、ごく普通のお弁当なんだけど。ジュンと2人きりになれる場所に移動して、2人でお弁当を食べる。

「いただきます。今日もマキの弁当は美味いな。だけどもうちょっと豪華なおかずないのか? 普通すぎてちょっと飽きてきちゃったんだよな」

「え、そう? 豪華なおかずって言われても、お弁当に入れられるおかずなんてそんなに思いつかないし…」

あたしが返答に困っていると、ジュンはまるで何事もなかったかのように言った。

「ま、美味いからいいんだけど」

そんな他愛のない話をしながら2人でお弁当を食べるのもすっかり毎日の習慣になった。初めてお弁当を持ってきてからもう1ヶ月になる。
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