あしたのあたし
そういえば、貸してあげたホテルの料金、まだ返してもらってなかったっけ。ジュンの事だからちゃんと返してくれると思うし、自分から言うのもなんかカネに汚い女みたいで嫌だ。ジュンが返してくれるのを待とう。

授業は全て終わり、放課後になっていた。いつもならジュンと一緒に帰るんだけど、今日はジュンは都合が悪いとかで一緒に帰れない。だから久しぶりにユミと一緒に帰る事にした。

「あたしは2軍か。高槻君の予備か」

「そういうわけじゃないって。たまには女同士の友情を確かめ合う事も大事じゃん」

「またそう言ってごまかそうとする」

ユミとのこういうやり取りは仲良くなってからずっと変わらず続いている。

「そういえばさ」

思い出したようにユミが話を切り出してきた。

「この前話した先輩のこと覚えてる? とにかくヤバイっていう豊川先輩」

「ああ、うん。覚えてるけど」

「最近豊川先輩、よく川の土手の道にいるらしいんだ。幸いまだ被害に遭った生徒はいないらしいんだけど、マキってあの道よく通るでしょ? 一応気をつけといたほうがいいよ」

「そうなんだ。ありがとう、気をつける」

話に聞くヤバイ先輩。あたしも関わりたくないものだ。
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