クールな君の甘さを知れば【※表紙絵変更しました】
余裕なんてないのに、軽口を言って取り繕ってしまう。
そんな自分が嫌になる度に、比べる必要もない相手と自分を比較して。
やべー…超ダセェな。
自覚した途端、余計に自分がダサく思えて仕方がない。
けれど、こればっかりはどうにもならない。
古賀を好きでいる限り、ずっと付きまとうもの。
だからといって、この気持ちに“やめる”とかそんなものはなくて。
終わりが見えなければ、いつ終わるのかさえ分からない底なし沼。
……に、ハマってる自分は、果たしてどれほど滑稽に見えているだろうか。
「じゃ、先行ってます」
「ん、了解」
その声を背中で聞いて、湯気が立ち上る浴場に足を踏み入れる。
モワッと熱い空気が全身にまとわりついた。
その空気ごと肺に入り込むこの感覚とともに、洗い場の椅子に腰掛ける。
鏡を見た瞬間に、顔がひきつった。
「…ひでー顔」
あれほど日下部に平気だと言っておきながら、いざ現実を目の当たりにすると苦しくなる。
この行き場のない思いをどこにも捨てられず、抱き続けることの辛さに挫けそうになる。
それで、ふとした時に勝手に落ちて自嘲して…ほんと、バカみたいだ。