クールな君の甘さを知れば【※表紙絵変更しました】

余裕なんてないのに、軽口を言って取り繕ってしまう。



そんな自分が嫌になる度に、比べる必要もない相手と自分を比較して。



やべー…超ダセェな。



自覚した途端、余計に自分がダサく思えて仕方がない。



けれど、こればっかりはどうにもならない。



古賀を好きでいる限り、ずっと付きまとうもの。



だからといって、この気持ちに“やめる”とかそんなものはなくて。



終わりが見えなければ、いつ終わるのかさえ分からない底なし沼。



……に、ハマってる自分は、果たしてどれほど滑稽に見えているだろうか。



「じゃ、先行ってます」



「ん、了解」



その声を背中で聞いて、湯気が立ち上る浴場に足を踏み入れる。



モワッと熱い空気が全身にまとわりついた。



その空気ごと肺に入り込むこの感覚とともに、洗い場の椅子に腰掛ける。



鏡を見た瞬間に、顔がひきつった。



「…ひでー顔」



あれほど日下部に平気だと言っておきながら、いざ現実を目の当たりにすると苦しくなる。



この行き場のない思いをどこにも捨てられず、抱き続けることの辛さに挫けそうになる。



それで、ふとした時に勝手に落ちて自嘲して…ほんと、バカみたいだ。
< 106 / 112 >

この作品をシェア

pagetop