クールな君の甘さを知れば【※表紙絵変更しました】
声を聞いただけでわかる。
声だけじゃなくて、きっと見た目も美人さん。
なんだろ…勘ってやつ、かな。
「……はぁ。明日送ってやるから今日は寝ろ。三連休なんだから明日でも間に合うだろ」
なるちゃんは、仕方なしと言わんばかりの呆れ顔。
なのに、それが胸にチクリと刺さった。
『あ…そうじゃん三連休!ありがと“なる”!』
そこに追い討ちをかけるように聞こえた“なる”って呼び方。
電話越しでもわかる相手の嬉しそうな顔。
っ…もう、やだ。
なにも聞きたくない。
この場から逃げ出したい。
そんな衝動に駆られるけれど、掴まれたまんまの腕はビクリとも動かなくて。
「じゃあ切るぞ。もう絶対かけてくんな、いいな」
『わ、悪かったって…。本当にありがとっ!おやすみ〜』
結局最後まで丸聞こえ。
なるちゃんは「おやすみ」って言わなかったけど。
その子にとっては、きっと最後に告げる「おやすみ」。
なるちゃんがどう思っているのかはわからない。
でも、電話越しに聞こえたあの嬉しそうな声は…紛れもない、特別な相手に向けるものだ。
「ったく…ごめん、海琴。待たせた…って、どうした?」
すぐに私の変化に気づいてくれるのも、いつもなら嬉しいはず…なのに。
「っ、ううん…なんでもない」