クールな君の甘さを知れば

『…海琴ちゃん、もし良かったらなんだけど…九条先輩も誘ってみない?』



どうやら、なるちゃんという彼氏(仮)がいるのに他の異性である長谷川くんと泊りがけで遊びに行くというのは如何なものかと思ったらしく。



それならいっそ、なるちゃんも一緒なら問題ないのでは?という穂乃果ちゃんの案だった。



なるほど一理ある…と思って、今なるちゃんに言ってみた…んだけど。



「…どう?やっぱり、行かない…?」



何やら険しい顔をしているなるちゃんに、恐る恐る聞いてみる。



私としては、大好きな人達との温泉旅行だから行きたいというのが本音。



でも、なるちゃんを困らせるのは嫌。



そんな思いで、ドキドキしながら返事を待っていると。



「行かないわけないだろ。ってか、俺抜きで行かせねぇ」



意外とすんなりOKをもらえて拍子抜け。



「えっ…い、いいの?」



無理だと思ってたから、思わず私から聞いちゃう。



「いいから言ってんだよ」



なるちゃんはね、嫌なことは嫌って言えるタイプの人間。



だから、嫌って言わないということはつまりそういうこと。
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