逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「ラナ、あなた疲れているんじゃない?」 
 ソフィーが声をかけた。
「悩みごとでもあるんじゃないの」

 洗濯物をたたむ手が止まっていた。さっきからため息ばかりついている。
「な、なんでもありません」
 あわてて動こうとした。

 その体に目を止める、服がぴっちり張り付いているのだ。
 洞窟生活で太ったのかいかにも窮屈そうだ。

「ちょっと食べ過ぎましたかね」
 視線に気づいて笑っている。

 だがソフィーは見たのだ。
 その腹部が特に大きくなっているのを。

 妊娠しているのでは、と思った。


           * * * 
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