逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「そのカライルが接触して来たんだ。ケイネ伯へ貸した出兵の費用が未払いで何とかならないかと」

 ケイネは国境警備に命ぜられて着任した。
 その費用をカライルから借りたのだ、後日国から支給されるからそれまでと。

 だが彼は早々に戻って来た。
 仔細は言わなかったが、ケイネの落ち度であることは明らかだった。任地をわずか半月で放棄したからだ。
 その全額を国庫から出せるものではない。

 支給が減額されてケイネは(ほぞ)を噛んだ。
 揚げ句カライルからの催促に無視を決め込んだのだ。
 
「思うにカライルはケイネの弱みをいろいろ知っていると見たぞ」
「弱みを、か」

「これからカライル邸へ行ってみないか。今日やつが在宅しているのは調べている。揺さぶりをかけるんだ」

 宰相のシュテルツと司令官のアーロンがいきなり行くのだ。何かの手ごたえがあるかも知れない。

「そうだな、それでケイネのボロが掴めたら儲けものだ」

 二人がうなずき合った。
 そのまま話を進めようとする。
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