逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 三度目に挑戦したとき、その最奥の床に違和感を覚えた。踏み込んだとき、何かに当たる感触があった。

 粗末な板切れがさりげなく置かれていた。それをどけると小さな扉があった。用心しながら開けてみる。

 すると下へ続く空間があった。

 足音を忍ばせて降りてみる。
 地面につま先が当たったとき、こっちを見る光る目があった。

 八人ほどの男がヴェンを凝視していた。
 とっさに腰の剣に手を当てた。

 しかし彼らはじっとして立ち上がる気配がない。
 数秒にらみ合う。
 ふと、あのときのソフィーらの声が蘇った。

『それじゃ、彼らにもこの薬を?』
『ええ。効いてくれるといいのだけれど・・』

 すると彼らも負傷兵なのか。

 そしてその服装に目を見張った。

 男らが着ているもの、それは・・ラクレス隊ではなく、グリント―ルの国軍でもなくケイネ隊でもない。
 薄汚れてはいるがあれは明らかに、
「バ、バッハス軍じゃないか、奴らは!」

 そう叫びそうになるのを、必死にこらえた。

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