逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「旦那様」
侍女長が声をかけた。
「お着替えをなさいませ。ゆっくりされてお食事をされたらいかがでしょう」
「そうだな、今夜はもう出かける必要もないからな」
ソフィーが困ったように顔を伏せている。
それに目をやって部屋を出た。
「あの方は、旦那様の軍服が気になっているように思いますが」
「そうかも知れんな。だが彼女もラクレス家の令嬢なら、同じグリント―ルの臣下だろう。だったらなぜだ」
軍の最高司令官であるアーロンと、国境のラクレス家ではアーロンのほうが身分が高い。
だがそのための畏怖ではないように思えた。
「国境で小競り合いがあったそうですね。国境警備のラクレス兵が負傷したと聞きましたが」
侍女長は女ながら世情に聡い。
「ああ、負傷兵の数が多いので気になっている。内偵を出しているがまだ帰って来ないのだ」
侍女長が声をかけた。
「お着替えをなさいませ。ゆっくりされてお食事をされたらいかがでしょう」
「そうだな、今夜はもう出かける必要もないからな」
ソフィーが困ったように顔を伏せている。
それに目をやって部屋を出た。
「あの方は、旦那様の軍服が気になっているように思いますが」
「そうかも知れんな。だが彼女もラクレス家の令嬢なら、同じグリント―ルの臣下だろう。だったらなぜだ」
軍の最高司令官であるアーロンと、国境のラクレス家ではアーロンのほうが身分が高い。
だがそのための畏怖ではないように思えた。
「国境で小競り合いがあったそうですね。国境警備のラクレス兵が負傷したと聞きましたが」
侍女長は女ながら世情に聡い。
「ああ、負傷兵の数が多いので気になっている。内偵を出しているがまだ帰って来ないのだ」