逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
怒涛の濁流 その2
「うおおーっ!」
 バッハス軍が怒号を上げた。

 先鋒隊が城壁に到達した。
 すべての門は閉められている。身軽な兵が城壁によじ登ろうとした。

 グリント―ル兵が階上の物陰で待ち伏せる。
 上から見ると蟻が這い上がって来るようだった。

 バッハス兵が手すりを越えてなだれ込む。
 剣を手に広いエントランスをうかがっている。

 そこは無人のように見えた。

 巨大な円柱が等間隔に並びその間にトレリスがあった。
 中央には石像と植物のアーチがあり椅子とテーブルが置かれている。
 これだけ見れば優雅な階上庭園のように見える。

 しかし無人である訳がない。
 バッハス兵が用心深く進んでいく。
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