逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 と、医務官がやって来て、
「お待たせしました。部屋の準備が出来ましたので」
「ありがとうございます」

 男が礼を言って遠ざる。

「なんだ、あれは」
 事務官がつぶやけば、
「なんという口の利き方ですか」
 医務官がたしなめた。
「あの方はオルグ様ですよ。二年前まで宰相の右腕と言われた方です。シュテルツ様がお呼びになったのです」

「ええっ、オルグ宰相補佐?」
 素っ頓狂な声を上げた。
「あの切れ者と言われていた?」

 新入りの彼は前宰相補佐であるオルグを知らなかったのだ。
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