逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 シュテルツはオルグを迎えると、
「ようやく準備が出来たよ、ここでよろしく頼むぞ」

 ベッドの横に事務机が置かれ、山のような書類がある。

「上から順に内容と数字を検分してくれ。各領から送られてきた決裁書だ。この二年に領主が代替りした所もある。家令も変わって記入形式が違っているのもあるから注意してくれよ」
「はい」

 オルグは最初の一冊を取った。そして、
「しかしもしかして、問題はないのでしょうか」
「問題?」
「そうです、今の宰相補佐がいるのに私がこうして出しゃばることです。彼が担当していた物もあるのでしょう。それなのにと」

「大丈夫だ。現宰相補佐はあの賠償の案件に追われている。山積みの書類と格闘しているのだ」
「はあ」

「それに考えても見てくれ。きのう君が王宮に来たとき彼は真っ先に会いに来ただろう。いつも君のことを口にしていたのだ、あの方はどうしていらっしゃるでしょう、とね」

 書類を繰るオルグの手が止まった。
「・・そう、でしょうか?」
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