逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「だがそれならセンダにも戦火が広がるのでは? パレス王がセンダに来るなら前王はここを標的にすると思いますが」
 
 図星を指されて急使が黙った。

「本当にマリンドウ王は来られるのか、そんなセンダの町へ、危険だということを承知の上で?」
「はい。今回の和平会見はマリンドウ王も積極的に推進しておられましたから」
 だがその目が泳いでいる。

 急使はその旨の文書を託した。そして慌ただしく帰って行った。

 ガイゼルは青くなって引き返した。

「ではセンダでの会見の日時はいつになったのですか」
「まだ不明だ、決まり次第使者を送って来るそうだ」

 マリンドウ王も出席するならグリント―ルも棄権することは出来ない。

 新たにセンダへ向けての支度にかかった。


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