逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 リズは、玄関の方を見た。
 王宮からの使いが帰って行く所だった。

 最近そんな早馬が毎日のように訪れる。アーロンは気にするなと言ったが、何か大事なことが起きていると思えた。

 ドアをノックする。
 アーロンは窓辺にいた。使いを見送る顔は真剣だった。

「少しよろしいでしょうか」
「なにか用か」

「いえ、大事なご用でしたらあとで出直しますが」
「別にかまわない。どうかしたのか」

「ソフィー様のことでございます」
「彼女に何かあったのか」
 早足で近づく。

「相変わらずですね、あの方の事なら何はさておきですね」
「いいから早く言え、ソフィーがどうかしたのか」

「いえ、そういう事ではなくて」
 二人は向き合って座った。
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