逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「あの方のお立場は少々不安定かと思うのです、このお屋敷で」
「不安定?」
「ソフィー様はまだあなたの奥様ではない立場です。その形で滞在して使用人は客人として接しています。でもこの間など・・」
アーロンが久々に王宮から帰って来たときの事を告げた。
昼下がりまで二人は部屋に閉じ籠っていた。
ソフィーは時間を過ごしてしまい、使用人の前に出ることを躊躇していた。
いたたまれなかったのだろう。彼女の困惑はあの時のアーロンにはわからないはずだ。
ああ、とうなずいてから、
「ではどうすればいいのだ」
「よろしければ、一日も早くこの家の方になっていただくのです。あなたの奥様になれば使用人に気を使うことは無くなりますので」
虚を突かれた顔になった。
剛胆で磊落な彼のそんな姿を初めて見た気がした。
「一日も早くか、もっともだ。では最短でことを進めてくれ。明日にでも式を上げよう」
「明日にでも? それは無理です。アーロン様のお立場なら内々で、という訳には参りません。招待客を吟味してなど手順がございます」
「ふむ」
「不安定?」
「ソフィー様はまだあなたの奥様ではない立場です。その形で滞在して使用人は客人として接しています。でもこの間など・・」
アーロンが久々に王宮から帰って来たときの事を告げた。
昼下がりまで二人は部屋に閉じ籠っていた。
ソフィーは時間を過ごしてしまい、使用人の前に出ることを躊躇していた。
いたたまれなかったのだろう。彼女の困惑はあの時のアーロンにはわからないはずだ。
ああ、とうなずいてから、
「ではどうすればいいのだ」
「よろしければ、一日も早くこの家の方になっていただくのです。あなたの奥様になれば使用人に気を使うことは無くなりますので」
虚を突かれた顔になった。
剛胆で磊落な彼のそんな姿を初めて見た気がした。
「一日も早くか、もっともだ。では最短でことを進めてくれ。明日にでも式を上げよう」
「明日にでも? それは無理です。アーロン様のお立場なら内々で、という訳には参りません。招待客を吟味してなど手順がございます」
「ふむ」