『苦しめてごめん・・』―消せない過ちを悔いる日々―

◇来訪者


 確か夢でも自宅に帰りほっとしていた自分がいたが
リアル自宅に帰り着きほっとしている自分を感じた。


 それと共に過去の嫌な思いを払拭させる為にもどこか新しい場所で
心機一転やり直したいと思う皇紀だった。


 そんなニート生活を二月(ふたつき)ほど送っている皇紀の元へ
『一度お目にかかりたい』という人物から連絡が入った。  


 何でもあの根米菜々緒と付き合っている相手の両親だという。

 息子がぞっこんで今すぐにでも根米菜々緒と籍を入れたいと言ってるのだが、
一度根米を紹介されて会ったご両親たちは何かしら腑に落ちないものを感じた為、
根米の職場に探りを入れたらしい・・が。


 皆口が堅くこれといった反対理由が見つからなかった。

 何も語られることはなかったがある事務方の女性が俺の存在を教えてくれた。


 それで一度話を聞かせてほしいということだった。

 今の俺はニートで家で暇つぶしをしていて断る理由もないし、
人助けできるのならと快諾した。


 俺は相手が指定してきたホテルのラウンジで会った。


「今日はお忙しい中わざわざお呼び立てして申し訳ありません。
来ていただいて本当にありがとうございます」

 初老の夫婦は丁寧に挨拶をしてきた。


「いえ、私で何かお役に立てましたら・・」


 聞くところによると元の職場の顧客で言うなればお得意様というところだろうか。


 そのお得意様と縁が切れても元の職場は潰れるというほどの打撃は
受けないだろうけれども、ちょっした打撃はあるだろう。


 根米のことをあれこれ言えるような相手ではないから皆、口を閉ざしたままだったのだろう。


 そして根米は見た目が良いので老夫婦の息子は熱病のように虜になっており、
入籍はもう少し交際してみてからにしては? という周囲の意見など耳に入らないらしい。


 おそらく、入籍のことは根米からせっつかれているのだろう。


「私のことを教えてくれた人からの様子ですでにお気づきかと思いますが
私と根米さんは親しくしていました」


 そのような話から入り、正直に今まで根米菜々緒との間に起きたことを
ほぼ卑怯な嘘などを入れず正直に話した。



「お恥ずかしい話です。

私は郷里にいる恋人を大事にできず最後は恋人を失ってしまいました。

自分の子供も」

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