『苦しめてごめん・・』―消せない過ちを悔いる日々―
「係長、神尾くんはそんなことをするような人じゃありません。
私も残って昨日は彼と一緒に係長が押し付けて帰った書類を手伝ってました。
それ、わざと数字を入れてなかったの、私です。
2人がかりで2時間も掛かる仕事を神尾くんに定時になってから押し付けたじゃないですか。
れっきとしたパワハラですよね。
神尾くんはこちらへ異動になってからずっと浅野係長からパワハラを受けてます。
頼めば私の他にも証言できる人が数名います。
このことが原因で神尾くんが会社を辞めたりしたら会社の大きな損失じゃないでしょうか」
いつも俺に対しては強気の浅野が根米には一言の反論もせず押し黙り気まずそうにしている。
根米がもんすごい勇者に見えた。
そして目の前にはあっけにとられている部長と課長が。
大森くん神尾くんの仕事は君が責任を持って見てやりなさい。
浅野くん決められた仕事を理不尽な形で部下に押し付けないようにな。
うちの社長はこういった類のパワハラとか大嫌いな人だから。
今度同じようなことがあれば社長の耳に入れないわけにはいかなくなるから。
これから気を付けるように。
「はい、かしこまりました」
この日から睨みつけられることはあるものの、浅野からの目立つパワハラはなくなった。
このような件もあり、怖いもの知らずの強者、勇者、という位置づけで
根米のことを見るようになった。
◇ラブホテル
それで、あの無茶振りされた残業を手伝ってもらった日に俺は根米と一緒に食事をした。
お腹もすいてたし、残業仕事を手伝わせておいてご飯のひとつもご馳走しないなんてあり得ないだろ?
まず食事をして店を出ると、根米が食事をご馳走になったから今度は自分がお酒を奢ると言い出した。
俺は内心疲れていたし早く帰りたかったんだが、自分の時間を割いて手伝ってくれた相手を
無碍にもできなくてそれからお酒をふたりで飲んだ。
そしてその後、ほどよい疲れを感じつつ俺はほろ酔い気分で駅までの道を歩いていたんだ。
ふらぁ~りふらぁ~りとね。
居酒屋の居並ぶ夜の街に似つかわしく、少しそれるとラブホなんかがあるのが見えるんだな、
歩きながらね。
この辺のラブホはその辺の普通のホテルとかわらない外観をしている。