『苦しめてごめん・・』―消せない過ちを悔いる日々―
 結構箱が大きめでしつらえなども重厚感があると耳にしたことがある。

 今、優雅にラブホテル入れるヤツら羨ましいよな、なんて思いながら
ブラリと歩いていたら、根米が駅までの直線の道を外れて細い道に入った。


 ちょっと遠回りになるんじゃね? と思いつつも、この辺の地理を熟知している人間の
行動ゆえ、だまってそっちの方向へと俺も付いて行った。


 会社から駅までの道のりの途上で時々視界の隅に入り込むことのあるゴージャスな
HOTEL HOABEの前で立ち止まった根米が俺の手を引いて歩き出した。


 普通のホテル並みの重厚さで建っている建築物は光の洪水で人の視覚に
金色に輝いているように見せるという演出を施しているところが唯一LOVE HOTEL
らしさを強調していた。


 宿泊、休憩、フリータイムと、ここを利用するのに3つの選択肢があった。

 俺たちはフリータイムでホテルに入った。
 

 俺たちはラブホに入れるくらいの距離感だっただろうか? 
 俺の(司令塔)が問いかけてくる。

 ・・がまぁ相手は俺よりずっと年上なわけで、おそらく割り切った関係だと
すぐにそんな風に理解した。


 ちゃんとした交際どころかお互いの気持ちを確認し合っての普通の交際すら
していない中でのラブホなわけで。


 いくら考えても割り切った関係以外思いつかなかった。

 

 こんな風にして赴任してきて3ヶ月目に突入した頃から俺は根米に仕事の相談に
のってもらうだけではなく下半身のほうも・・。


 一線を越えた仲になっていった。


 そして週一くらいの頻度でHOTEL HOABEを利用するのがルーティンのような
関係になっていき、仕事もプライベートも安定して落ち着きを見せ始めた頃、またぽつぽつと
友里からの『寂しいの、誰かと話したい』というようなメールが届くようになった。



帰省してからひと月も経っていないというのに。


 同じような内容の2度目のメールが届いた時

『どうしようもできないだろ、どうしろと?』

と頭を抱えているところに根米参上。

昼休み休憩の時だった。


「また例の彼女からなのね。めっちゃっ、困らされてるじゃん。
私がまた文考えたげるわよ。貸して・・」


「いや、いいよ。後で考えて何とかするわ」
と言う俺の言葉は華麗にスルーされ、根米はスマホを俺の手からもぎ取るように
自分の手に取り。


 前と同じようにスルスルスルっと文を打ち込んで俺に同意を求めてきた。
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