自殺教室
目覚め
なにか夢を見ていた気がするけれど、目が覚めたときその夢の内容は簡単に記憶から消えていってしまった。
体が痛くて身を捩り、地面の硬さに首を傾げた。

いつものベッドに眠っていない。
そう気がついて上半身を起こすと、そこは見知った教室の風景だった。
下平奈穂は「え?」と小さく呟いて立ち上がり、周囲を見回した。

周りに居たのはクラスメートの中武珠美、望月豊、杉本一浩の3人だ。


「あれ? なんで俺こんなところにいるんだ?」


一浩がキョトンとした表情で頭をかいている。
みんな、なぜか制服姿だ。


「ちょっと、なにこれ?」

「うお、なんだ?」


珠美と豊のふたりも今の状況に混乱し始めている。
もちろん奈穂も同じくらい動揺していたけれど、周りにいるのは見知った顔ばかりということでなんとなく安心してしまった。


「みんな、どうしてこんなところにいるの?」


そう聞きながら近づいていくと珠美が左右に首を振った。


「わからないよ。だって私、ちゃんと自分の部屋のベッドで寝てたもん」

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