自殺教室
謝罪
「奈穂、食欲ないの?」


夕飯の席についても食べる気分になれなくて奈穂はうつむいたままだった。
テーブルには奈穂の大好物のロールキャベツとコンソメスープが並んでいるけれど、なかなか手を伸ばすことができない。

千秋のお見舞いから戻った後ちゃんと学校へ行ったものの、授業もろくに頭に入ってこなかった。
ジッと机に座って教科書を見ていると、どうしても千秋の姿を思い出してしまう。

頭に包帯を巻いて、あちこちに小さなガーゼがはられていてとても痛々しかった。
千秋がそんな状態になってしまったのは自分たちのせいなのに、こうして授業を受けていていいのかという気持ちになってしまう。

本当なら千秋だって今ごろ一緒に授業を受けていたはずなのに……。
そう思うと胸が苦しくて仕方なかった。

そして家に戻ってきた今も、その苦しみは消えてはいなかった。
自分だけ家族と食卓を囲んでいることに違和感を抱いてしまう。


「大丈夫……。ちょっと、体調が悪いだけ」


そう言い、一口だけ食べる。
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