『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
 目の前にはとてもじゃないが取りなしてくれそうもない義父が
今も不快感いっぱいの顔で座っている。


 許してもらえるなどとは考えてなかったのだから、いや本音をいうと
ちらっと考えなくもはなかった、がここは引き下がり時と考え、
失礼しますと執務室を後にした。


 帰宅途中気晴らしに海岸線沿いに車を走らせた。

 左手に陽の光でキラキラして見える海を臨み前方にどこまでも続きそうな
湾曲した海岸線を走り抜ける。


 今になってみれば、兆候はあったのだ。

 寝室から消えた苺佳。
 

 家族サービスを喜ばなくなった苺佳。

 以前のように好き好きビームを発信しなくなった苺佳。


 何となく感じていたのに、美羅に夢中で放置していた。

 そして全てをなくした。


 しばらく走行した後、湾岸線の高架下に車を止めることにした。

 結婚する前の両家で集った夏休みの思い出、結婚してからの日々、
そんな記憶がふわふわと英介の頭の中を駆け巡っていくのだった。



 翌月末、英介の退職と共に彼ら、英介と苺佳の離婚も成立した。


 苺佳が家を出てから2か月余り後のこと、すんなりと離婚が成立した。



 その日、保育園へ眞奈を迎えに行った帰り道のこと。



「苺佳ちゃん、今日比奈ちゃんお休みだった」

「えっ、そうなの? どうしちゃったんだろうね。後で瑤ちゃんに聞いてみるわ」


『こんにちは。
 今日比奈ちゃんお休みだったみたいだけど明日は登園できそうですか?
 私も眞奈も心配してまーす』


 帰宅後すぐに瑤ちゃんにLINE送ったけどすぐに返事は来なかった。


 取り込み中かな。
 1時間後瑤ちゃんから返信があった。


『比奈は元気なんだ。
 私が風邪を引いてしまって寝込んでる。

 母親も今日は用事があって手が離せなかったんだ。
 
 子供と年寄りにうつすといけないから比奈はこのまましばらく
母親に預かってもらおうと思ってる』


『じゃあ比奈ちゃん、しばらく保育園お休みなんだね』

『そうなるね』
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