『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
『何か口に入れてる? 私、様子見に行こうか?』

『うつるといけないから止めたほうがいいよ』


『私、風邪に強い体質でうつりにくいし、うつっても寝込むほどにはならないと思う。
 行くよ、今から。何とか這いつくばって鍵だけは開けといて。
 その後は私が手厚い看護するから極楽が待ってるよ~』


『分かった、苺佳。最強な女だな』


『そうだよー。ンでは今から看護士そちらに向かいまーす』



 今日は離婚が成立した日で、私は寝込んでる瑤ちゃんの家へ看護するために出掛ける。


 こんな悲しむべき日に信頼できる人の側にいられるなんて、
私はやっぱり? ラッキーな人間だ。


 瑤ちゃんの家に着くとちゃんと鍵が開けられていた。

『おじゃましまぁ~す』


 眠っているかもしれないのでそっと小声で声を掛けて家の中に入る。


 廊下を挟んで和室と洋室があり、洋室のドアが開けられていた。


 覗くと瑤ちゃんは眠っているようだった。

 そのまま突き進むと結構広めのリビングダイニングが目の前に広がった。


 桃とみかんの缶詰にのど飴、それとレトルト粥は常備してある家からの持ち出しだけど、
ゼリー、ポカリ、プリン、などはコンビニで買い漁ってきた。


 それらをキッチンカウンターの上に並べる。

 キッチンを使うのは瑤ちゃんが起きてからにしよう。

 今日は泊まる気満々で寝袋を持参した。


 瑤ちゃんのベッドの側で転がって寝てもいいし、和室を使わせてもらえそうなら
そこでもいいしなどと部屋の中の様子を窺いながら考える。


『瑤ちゃん、起きたら呼んで! 私、リビングにいるから』


 そう瑤ちゃんにLINEを送り、私は家から持って来た文庫本を読みながら
王子様が眠りから目覚めるのを待つ。



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