『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
 彼女の希望通り会わずに、というのが最善なのかもしれないが、
いくら考えても自分には無理がある。



 言葉を交わすことができなくても、ひと目だけでも今一度妻と娘の顔を見ておきたい。


 後悔しそうなんだ、そうしないと。

 苺佳に調べられてこんな結末になった興信所とやらを今度は自分が使うことになろうとは。



 だが古家の実家周りをうろちょろ嗅ぎまわることは憚られるので、
こうでもしないとしようがないじゃないか。


苺佳が外出しているところを知らせてもらうことにした。


 あまり出歩いてないようで興信所から連絡が来たのは一週間もしてからだった。

 知り合いと一緒のようで、『しあわせの村』という205haの広大な敷地に
宿泊施設やプール、温泉、だだっ広い公園、キャンプ場などが備えられており、
馬やテニス、アーチェリー、ミニゴルフなどスポーツ施設も充実している場所に
いるのだと連絡が入った。



 灯台下暗し、我が家から車で15分という近場。

 ここはリハビリのできる医療施設もあったはずだ。



『知り合いと一緒のようで・・』と言ったスタッフの言い方が微妙にひっかかった。

 何故だ? 知り合いって? まぁいい。

 とにかく苺佳が外にいる間がチャンス、俺は逸《はや》る気持ちを抑え、
すぐに車を出した。




 さて、夫の依頼で調査されて『しあわせの村』に居ると報告された苺佳はというと、
この日は自分の所用に友人で医師(皮膚科医)でもある大林瑤子に付き添われて
こちらのリハビリ施設に世話になっている母親の様子見伺いに来ていたのだった。


 集中して一週間ほどリハビリを行い、調子が良くなれば現在の泊りでのリハビリから
通いのリハビリへと移行することになっていた。




 英介は半年程前から苺佳の母親である佳乃が大腿骨を損傷し、
つい最近手術していたことを知らなかった。



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