『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
 
「判った。ちがーう、わかりません。

 そんな御託わかりたくありません。

 人というものは大切な人や好きな相手には、酷い仕打ちや悲しませるようなことを
しないものなんです。


 大切な人や好きな人とはたくさん一緒に居たいと思うものです。

 やさしくしたいと思うものです。誠実でありたいと思うものです。


 あなたにとって私はそのような対象者ではなかった、それが真実なのよ? 

 申し訳なかったという謝罪は受け取れませんが、お気持ちは『そうなんですかー』
くらいの気持ちで聞かせていただきます」


「・・・」


 英介は思いもしなかった苺佳の言葉に絶句するしかなかった。

 そんな英介に苺佳はするどい胸の内を吐露し続けた。



「こんなこと今更って感じなんだけど、会わないと決めていたのに
英介さんと会ってしまったから言っとく。


 俊介くんとの結婚がなくなって英介さんとの結婚が決まった時、
私、本当にうれしかったのね。


 俊介くんとの結婚が嫌だったわけじゃあないけど、思春期に入った頃からかな、
結婚相手が英介さんだったらもっと良かったのにって考えが頭の中をよぎるようになって。


 今まで誰にも話したことなかったけど。

 お別れしてから告白することになるなんて皮肉な話だけども、しようがないわ。


 私の思いを伝えられる相手はあなたしかいないから。


 よく考えてみると私たちってお互い相手に好きだっていう気持ちを言葉にして
伝え合ったこと一度もなかったわね。



 だから不安はあったのよ。

 もしかしたら自分の気持ちは片思いで一方通行かもしれないって。


 山波美羅さんとのことを知って悲しいけどやっぱりね、って思った。


 私が思うほどには英介さんから想われてなかったんだなって」


「そこまで俺のことを好いてくれているとは思ってなかったけど、
俺だって苺佳のことは可愛いと思ってたし好きだったよ。
 
 いや、今も好きだ。だから結婚した。これは嘘偽りのない本心だ」




< 112 / 123 >

この作品をシェア

pagetop