『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
「そんな言い訳、私が喜ぶとでも? 
私ずっと英介さんはやさしい人だって思ってたけど・・
本当はとっても残酷な人だっていうことが今分かった。



 他所の女性と楽しんで、奥さんとは離婚するつもりないなんて、最低じゃない。
 
人を待たせてるからもう行くね」



「あのイケメンと付き合ってるのか?」


 イケメンって瑤ちゃんのことだよねー。
 男の人と勘違いしてるんだ。

 面白い、意趣返しで訂正はしないでおこう。
 確かに付き合ってるしー。
 
ママ友として付き合ってきたし、これからはもう少し親密なお付き合いに
なりそうだから嘘にはならないよね。


「うん、付き合ってる。もう少ししたら一緒に暮らすの」

「えっ、もうそんな深い付き合いしてるのか?」

「う~ん、どうだろう。深くはないけど、まぁ浅くはないかな・・。
 じゃあ友達が待ってるから今度こそもう行くね。
 あなたもお元気で。

 あっ、私も忘れるからあなたも私のことは早く忘れてください。
 さよなら」



 一度も振り向きもせずに去って行く苺佳。

 向こうで待っている彼氏の側まで追いつくと苺佳は楽し気に語らいながら
建物の方へと歩いて行った。


 苺佳を失うという、失ったという現実を本人に会ったことで
ようやく実感としてとらえられるようになった。


『私も忘れるからあなたも私のことは早く忘れてください』


 何度も何度も頭の中でリフレインする台詞。


 山波美羅という恋人ができ、時間ができる度に会っていたけれど・・
 散々家族を蔑ろにしてきたけれど・・苺佳と別れるなんてこと考えたこともなく、
 まだ未だにこの現実を受け入れられない自分がいる。


 義父から退職通知と娘婿として相応しくないと申し渡された日から
もう美羅には会っていない。


 不思議だろ?


 
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