『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
そんな中、瑤ちゃんに会えないかなって思いながら眞奈の送迎をしていた時には
一度も会えなかったのに、瑤ちゃんに会いたいなぁ~なんて考えられない
状況になった途端、久しぶりに午後からのお迎えでドンピシャ瑤ちゃんに
会えちゃった。
「お久しぶりぃ~」
「あぁ、久しぶり・・元気だった?」
えっ、何ていう挨拶。
瑤ちゃんったらぁ、ほんとにもう、どうして私の胸を
ブルブル震わせることを言うんだろう。
今の瑤ちゃんには英介さんのこと、少し距離があり過ぎて話せないや。
「うん・・まぁ元気かな。
瑤ちゃんも元気そうだね。
送迎頼める人ができて、少しゆとりができたから良かったね。
私は会えなくてちょっと寂しいーけど」
瑤は苺佳の『寂しい』発言を聞いてほっと胸をなでおろした。
昨年の比奈の預かりをしてもらっていた夏に、
嫌われるようなことをやらかしていたからだ。
後で謝罪して受け入れてもらったものの、嫌われちゃったよなぁ~と、
ずっと気に掛かっていた。
嫌いな相手に寂しかったなどとは言わないだろ?
「ほんと、私たち随分と会ってないな」
「うん、比奈ちゃんとおばあちゃんとは時々顔を合わすけど。その・・」
「ン?」
「・・仕事忙しいの?」
「う~ん、忙しいけど、そこは去年と一緒? まぁ相変わらずだよ」
「そうなんだ」
苺佳の問い掛けは『もう比奈の送迎はしないのか?』と
訊かれているようにも感じた。
「週に何度かさぁ・・」
「?・・」
「比奈のお迎え、私が行くよって母親に言うだろ?
そしたら『仕事で疲れてるのにわざわざお前が行かなくてもいいのよ。
私が行くから』って返してくるんだよなぁ~。
あれよぉ、歩くのは健康にいいし、孫と連れだって話すのも楽しいらしい。
でな、私の睨んでるところでは、同世代の保護者がいて気が合うらしくて、
週に何度かその人と立ち話するのを楽しみにしてる節がある。
送迎するのに3つも理由がある人に私、太刀打ちできなくてさ」
「そっか、そんなことになってたんだ。私、知らなくて。
瑤ちゃんが死ぬほど忙しいのかと心配してた」
「おぅ~、スマヌ」
その話を聞いて苺佳の胸に灯った感情を瑤は知らない。