『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
『おとうさん、知らなかったよ。おとうさんからそんなに愛されてたなんて』


 父親からの深い愛を知り、私は泣きそうになった。

そして友達のように仲良しだった母のことを醒めた目でしか見られなくて少し悲しかった。


「苺佳、その・・ごめんなさい。良かれと思って言ったの。それは分かってね」

「うん、分かってる」

「離婚の決意が固いのならお父さんの言う通り、いつでもこの家に
眞奈を連れて帰ってらっしゃい」


「お父さん、お母さん、もしこちらに帰るようなことになればその時は宜しくお願いします」



「お父さん、ここからが本題っていうか、英介さんと女性のことを自分の胸だけに納めて
グタグタしてた私が今日報告に来たのには理由《わけ》があるの。


 昨日英介さんから聞いたんだけど、うちの会社が影山のお義父さんの会社と
合併するって本当?」


「あぁ、景気が悪くてね。どこも収益が落ち込んでいて、喫緊の課題だな。

 特に規模の小さな会社からまとめてほしいと要望があってね。

 互いの持つ技術や人材、商品、サービスなどを掛け合わせてさらなる
シナジー《相乗》効果を作り出し、事業規模の拡大を狙ってる、というところだな。


ただ狙い通りになるかならないかは、ある意味賭けでもあるがね」


「影山コーポレーションも合併の候補に入ってるの?」



「もちろん、入ってた」

 父の返答は過去形で放たれた。



「私が英介さんと離婚したら・・」


「合併はしないし、古家製紙株式会社からも退いてもらう。クビだ。
筋を通せない人間は信用できないからね。

あの賢い英介くんがね、よもや女で自分の将来を捨てるとは流石の私も
見立てが甘かったよ」


「お父さん・・」

「あなた、これからどうなさるつもりですか?」


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